長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。
今回は、しばらく中断しておりました「特定技能」の分野別解説を再開します。
前回は「自動車整備分野」でしたので、今回は「航空分野」について書いていきます。
【特定技能外国人が行うことができる仕事の内容】
「空港グランドハンドリング」・「航空機整備」2つの業務区分に分けられます。
☆空港グランドハンドリング☆
航空機の地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務です。前者は、例えば着陸した航空機の駐機場への誘導や移動等の航空機の地上における移動に係る業務です。一方後者は、旅客の手荷物や航空貨物の航空機への移送やその搭載・降載、手荷物や貨物の仕分け、航空機に搭載される混載貨物をプレート(ULD)に積み付ける業務、更には航空機内外の清掃・整備業務等が当たります。
☆航空機整備☆
こちらは名前のとおりで、運航整備、機体整備、装備品や原動機整備など、航空機の機体、装備品、部品を含めた整備業務の全般が該当します。
※特定技能1号は、上記の業務を責任者・有資格者の指導の下に行うことが必要で、特定技能2号は、外国人がその責任者・リーダーとして現場を統括しつつ、上記のような業務に従事することが必要です。
※なお、いずれの場合も、上記の業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例:事務作業、除雪作業等)に付随的に従事することは問題ありません。それがメイン業務になってしまうことはもちろん許されません。
【外国人の方本人が満たすべき要件】
◎特定技能1号◎
☆技能水準試☆ 以下の左記業務区分に応じて、「→」右の試験合格が必要です。
・空港グランドハンドリング → 航空分野特定技能1号評価試験(空港グランドハンドリング)
・航空機整備 → 航空分野特定技能1号評価試験(航空機整備)
☆日本語能力☆
・日本語能力試験N4以上等の合格
◎特定技能2号◎
☆技能水準試験☆ 以下の左記業務区分に応じて、「→」右の試験合格が必要です。
・空港グランドハンドリング → 航空分野特定技能2号評価試験(空港グランドハンドリング)
・航空機整備 → 航空分野特定技能2号評価試験(航空機整備)
又は、一等又は二等航空整備士・航空工場整備士等の技能証明書
☆実務経験要件☆
・空港グランドハンドリング → 現場において技能者を指導しながら作業に従事した実務経験
・航空機整備 → 現場において、専門的な知識・技量を要する作業を実施した3年以上の実務経験
※なお、基準省令において、実務経験年数について「航空機整備」の業務区分では3年と明示されていますが、空港グランドハンドリングについては明示されていません。今後、明らかになってくるものと思われます。
※なお、2023年10月中旬に発表されました特定技能・技能実習制度の新制度検討会の最終報告においては、今後特定技能2号についても日本語能力(N3以上)の合格が課されるとの記載があり、これはおそらく間違いないでしょう。つまり、以前まで(現行制度)は特定技能2号には日本語能力が要件となっていなかったため、日本語が話せなくても熟練技能をもっていればOKとされていたところ、そうではなくなるものと考えられます(まだこれは正式決定ではありません。2023年10月現在)。
【受入機関(特定技能所属機関)が求められる要件】
①空港管理規則第12条第1項若しくは第12条の2第1項の承認を受けた者(航空法第100条第1項の許可を受けた者を含む。)若しくは同規則第13条第1項の承認を受けた者若しくは同規則第12条第1項、第12条の2第1項若しくは第13条第1項の規定に準じて定められた条例、規則その他の規程の規定に相当するものに基づき空港管理者により営業を行うことを認められた者
であって、空港グランドハンドリングを営む者であること
又は
同法第20条第1項第3号、第4号若しくは第7号の能力について同項の認定を受けた者若しくは当該者から業務の委託を受けた者であること。
※要するに、「空港を営むことを国から許された者」であって、空港グランドハンドリングを業務として行っている会社等であること、又は、国交省から航空機・整備品の整備・検査・改造等の事業場として認定を受けた者又はその者から業務委託を受けている者であることが必要です。
②航空分野特定技能協議会の構成員であること。
③↑の協議会及び国土交通省が行う調査又は指導に対して必要な協力を行うこと。
④外国人支援を登録支援機関に全部委託する場合には、その登録支援機関も上記①~③のいずれにも該当する者であること(特定技能1号に限る)。
以上が、簡単ではありますが特定技能「航空分野」における、分野別要件の解説となります。
上でも触れましたが、つい先日、技能実習に変わる新制度の最終報告がなされたことで、この特定技能制度も大きな変革を遂げることになりそうです。いずれにせよ、今後の動きは注視していく必要がありそうですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。