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【第51回】特定技能分野別解説⑧~宿泊分野~

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。

来週の月曜日(11月13日)は諸事情でブログが書けないので、今回は金曜日に更新しております。そして、その内容は、前回から復活した特定技能の分野別解説の続きです。

前回の「航空分野」につづきまして、今回は「宿泊分野」について書いていこうと思います。

「宿泊」とはいわゆるホテルや旅館での業務ですね。何となく人気のある職業のような気がしますが、実態としては厳しいんですね。コロナ禍が(一応)落ち着き、外国人観光客が回復してきているので、今後この分野の人手不足は拍車がかかりそうですね。

それでは、行きましょう。

 

【特定技能「宿泊分野」で外国人が行うことができる業務内容】

☆特定技能1号

・宿泊施設におけるフロント、企画、広報、接客、レストランサービスの提供その他の宿泊サービスの提供に関する業務。

・注意しなければいけない点としては、上記に列挙された業務に幅広く従事する必要があるということです。すなわち、フロント係ばかりやらせたり、企画・広報業務ばかりをやらせるなど業務に偏りがあってはいけません。ただし、それは当該外国人の在留期間全体から見て幅広く従事させていれば問題ありません。例えば、在留期間5年のうち、どうしても人手不足により1年間はフロントとレストランサービスに従事させる等も問題がありません。しかし、それがずるずる続いて在留期間の大半がその業務だけとなってしまっては問題です。

・また、上記の業務に関連する業務に「付随的に」従事することは問題ありません。この付随的業務としては、ホテル内売店でのレジ対応、備品や設備の点検などが想定されています。ただし、この関連業務が主たる業務になることは許されません。

 

☆特定技能2号

・上記「特定技能1号」の業務を、複数の従業員に指導しながら行うこと。つまり、主任や現場責任者のような立場で特定技能1号に掲げる仕事を行うことです。

 

【外国人本人の条件】

☆特定技能1号

●技能水準  → 宿泊分野特定技能1号評価試験の合格​

●日本語能力 → 日本語能力試験N4等(以上)の合格

☆特定技能2号

●技能水準  → 宿泊分野特定技能2号評価試験​の合格

●日本語能力 → なし※1

●実務経験  → 宿泊施設において複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務に従事した実務経験※2

 

※1 前回も書きましたが、現行制度では日本語能力については特段の条件が定められていませんが、現在正に進行している専門家会議の最終報告において、​特定技能2号の条件に日本語能力試験N3以上の合格を必須条件とすることがほぼ確定しています。

※2 2年以上の実務経験が必要です。なお、2023年6月9日の運用要領改正の時点で、宿泊分野の1号特定技能外国人として本邦に在留する者については、同日以前の期間に関しては、この実務経験に含めることができることになっています。なので、2021年6月9日より前から今まで特定技能1号をもって宿泊分野の特定技能外国人として働いている人は、2号の実務経験要件は満たしていることになります(2023年10月現在の取扱い)。

 

【外国人を受け入れる機関(特定技能所属機関)の要件】

①旅館・ホテル営業の都道府県知事等の許可を受けていること。(旅館業法第3条第1項​)

②ラブホテル(第2条第6項第4号​)のような環境(施設)で外国人を就労させないこと。

③キャバクラのような接待(風営法第2条第3項​)を外国人をにさせないこと。​

④国土交通省が設置する宿泊分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会の構成員であること。

⑤「④」の協議会、及び国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。

⑥外国人支援を登録支援機関に「全部委託」する場合は、当該登録支援機関も「④」「⑤」​を満たすこと。

⑦特定技能外国人から在職職証明書や退職証明書を請求された場合には、必ず発行すること。

 

【その他】

・宿泊分野においても、特定技能外国人の雇用形態は「直接雇用」のみであり、派遣社員として外国人を雇うことはできません。

 

※この「宿泊」という分野においては、在留資格(ビザ)「技術・人文知識・国際業務」、「特定活動告示46号(本邦大学卒業者)」、そしてこの「特定技能」という3つの在留資格との棲み分けで複雑になっている分野ではあります。特定活動告示46号と特定技能ができたことにより、技術・人文知識・国際業務でのホテル・旅館への就職は難しくなったということも言えます。例えば、フロント業務に従事する場合は、規模が大きなリゾートホテル等でない限り、技術・人文知識・国際業務でのホテルへの就職は難しいと言えるかもしれません。つまり、ビジネスホテルなどでフロント業務に従事する場合は、技術・人文知識・国際業務では難しく、特定活動告示46号か特定技能のどちらかとなる可能性が高いでしょう。

 

以上、今回は在留資格(ビザ)「特定技能」の「宿泊分野」の分野別解説でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。​