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【第53回】特定技能分野別解説⑩~漁業分野~

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。

今日は朝から郵便局へ行ったりして若干動き回りましたが、ようやく落ち着いたので毎週恒例のブログを書こうと思います。

今回は、またまた引き続き特定技能の在留資格(ビザ)の分野別解説です。前回は、「農業分野」について書きましたが、今回は「漁業分野」です。

漁業分野も、農業分野とともに派遣形態での雇用が認められている点が他の特定産業分野と最も大きく違う点ですね。

では、見ていきましょう!

 

【特定技能外国人が従事することができる仕事内容】

・漁業分野は「漁業」と「養殖業」の2つの業務区分に分かれています。

☆特定技能1号☆

1)漁業 → 漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等

2)養殖業→ 養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等

☆特定技能2号☆

1)漁業 → 上記の業務及び操業を指揮監督する者の補佐、作業員の指導及び作業工程の管理。

2)養殖業→ 上記の業務及び養殖を管理する者の補佐、作業員の指導及び作業工程の管理。

※他の産業分野と同様、関連業務(例:漁業に係る漁具の積込み・積下し、漁獲物の水揚げ、漁労機械
の点検、船体の補修、自家原料を使用した製造・加工・出荷・販売等、養殖業に係る梱包・出荷、自家原料を使用した製造・加工・出荷・販売等)に付随的に従事することは差し支えありません。要するに、上記に掲げた本体業務を行う上で、当たり前に必要となる簡易な作業等も、本体業務に付随して行う限り、特定技能の在留資格(ビザ)の活動内容に含まれます。

 

【特定技能外国人本人に求められる条件】​

☆特定技能1号☆

1)下記の業務区分に応じて、右記の技能水準試験合格

・漁業 → 1号漁業技能測定試験(漁業)​

・養殖業→ 1号漁業技能測定試験(養殖業)」

2)日本語能力試験の合格

・​国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験N4以上の合格

☆特定技能2号☆

1)​下記の業務区分に応じて、右記の技能水準試験合格​

・漁業 → 2号漁業技能測定試験(漁業)​

・養殖業→ 2号漁業技能測定試験(養殖業)​

2)日本語能力試験の合格

・日本語能力試験N3以上の合格

3)実務経験要件

・漁業 → 漁船法上の登録を受けた漁船において、操業を指揮監督する者を補佐する者又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての2年以上の実務経験

※「漁業」区分での実務経験の「実務」とは、船長・漁労長など操業を指揮監督する者を補佐しながら自らも作業に従事すること、又は操業を指揮監督する者の下で自らも漁労作業を行いつつ、他の作業員に対し、作業内容に合わせた漁具や作業員の配置等の指揮、船長・漁労長に対して作業の進捗状態等の報告を行うなど、要するに会社でいうと支店・営業所等のリーダーや主任クラスを想定しているようです。

 

・養殖業→ 漁業法及び内水面漁業の振興に関する法律に基づき行われる養殖業の現場において、養殖を管理する者を補佐する者又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての2年以上の実務経験

※​「養殖業」区分での実務経験の「実務」とは、経営者の下で養殖場長等を補佐しながら自らも作業
に従事すること、又は経営者の下で養殖場長等として、養殖水産動植物の管理作業を自らも行いつつ、養殖いけす等の管理者等として他の作業員の指導業務を行うことをいいます。

【受入機関等の条件】

・「派遣」(労働者派遣及び船員派遣)についての主な条件

1)派遣元(つまり特定技能所属機関たる受入機関)が、地方公共団体又は漁業協同組合、漁業生産組合若しくは漁業協同組合連合会その他漁業に関連する業務を行っている者が関与するものであること。

※つまり、一般の人材派遣業者や、漁業にかかわりのない者が特定技能「漁業分野」で外国人を受け入れて、当該外国人を派遣労働者等として派遣先へ送り込むことはできません。

2)漁業又は漁業に関連する業務を行っている派遣元であること

※「漁業に関連する業務を行っている」者→漁業協同組合や漁業生産組合等が想定されています。​

3)​地方公共団体又は「2)」に掲げる者が資本金の過半数を出資している派遣元であること

4)地方公共団体の職員又は「2)」に掲げる者若しくはその役員若しくは職員が役員であることその他地方公共団体又は「2)」に掲げる者が業務執行(要するに経営)に実質的に関与していると認められる派遣元であること。

※上記の条件は、「農業分野」の派遣要件とほぼ同じですが、農業分野とは異なり、派遣先責任者の条件等が課されていません。

※通常の労働者派遣事業における派遣先の対象地域については、派遣元責任者が日帰りで派遣労働者からの苦情の処理を行い得る地域とされていますが、労働者派遣形態による特定技能外国人の受入れについては、それより近い距離(苦情処理を含めた外国人労働者の雇用管理を適切に行うことができる範囲)が想定されています。​​

・その他の受入機関要件

1)農林水産省が設置する特定技能「漁業分野」に係る協議会の構成員となること。

2)上記の「協議会」に必要な協力をすること。

3)上記「協議会」において行われた協議において決定した措置を履行すること。

4)派遣の場合は、派遣先も2)の協力を行う者へ派遣すること。

5)登録支援機関に支援業務を全部委託する場合は、当該登録支援機関も2)の協力を約束する者であること

※登録支援機関は、他の多くの産業分野とは異なり協議会に加入することは求められていません

6)外国人から(退職前後等に)在職証明書等の交付を依頼された場合には、それに応じること。

 

以上が、特定技能の在留資格(ビザ)の「漁業分野」の分野別解説となります。なお、他の産業分野解説と同様、このブログに挙げているもののほかに細かな条件があります。主な(重要な)条件のみを挙げたものですので、あくまでも参考程度としてご理解いただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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