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【第56回】永住者➀~永住者とは~

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。

 

まず、本年初回のブログ更新ということで、新年のご挨拶を簡単にさせていただきます。

新年あけましておめでとうございます。

本年も何卒よろしくお願いいたします。本年は元日から大災害が発生、翌日には日航機と海上保安庁機の衝突、さらにその翌日には九州での商店街の火災と、とんでもない幕開けとなってしまいました。

能登地震に関しては、私も、今後できることがあれば、可能な限り被災地の方にプラスとなるような行動がとれるよう、微力ではありますが頑張ろうと思っております。

 

さて、今回からは「永住者」という在留資格(ビザ)について書いていこうと思っております。今回は、その概要について触れさせていただき、次回以降許可の要件などをその項目ごとに解説していこうと思っております。

なお、「永住者」と似た言葉として「特別永住者」というものもありますが、この2つは違います。特別永住者は、いわゆる第二次大戦の際の日本残留外国人及びその直系卑属の方を対象としたもので、入管法ではなく「入管特例法(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の在留管理に関する特例法)」に定められており、一定の条件を満たす外国人のみが対象となるものです。

 

【永住者とは?】

まず、永住者とは、法務大臣が「外国籍を保持したまま(日本国籍を取得することなく)、永久に日本に居住することを認めた者」のことです。

永住者(と高度専門職2号)以外の通常の在留資格は、必ず在留期間(在留資格の有効期間)が定められているため、在留期間が満了した後も引き続き日本で暮らしたい場合は、在留期間の更新許可等しかるべき申請手続きが必要になります。もし、在留期間の更新等の措置を取らずに在留期間を経過して日本に留まった場合は、退去強制手続き(強制的に日本の外へ送還される手続き)の対象となり、日本に居られなくなる可能性があります。

しかし、永住者の在留資格(ビザ)が許可された外国人は、在留期間という概念自体がなくなるので、在留期間を気にして生きる必要がなくなります。これは、外国人の方にとってはとてつもなく大きなメリットになると思います。我々日本人も、自動車運転免許証の有効期間が来たら更新しないといけませんが、それ以上に、在留期間というのは外国人にとってめんどうなものです。自動車の運転免許の更新を忘れた場合は、自動車の運転ができなくなりますが、いい方は悪いですが、それだけのことです。しかし、外国人の方が在留期間の更新等を忘れて、在留期間を超えて日本に残っていると、それだけで不法滞在となり、犯罪となってします。

 

【永住者のメリットと注意事項】

☆メリット☆

・在留期間がなくなるため、面倒な更新手続きなどをしなくてもよい。

・活動制限がなくなる(合法であれば、在留資格に縛られずに日本国内でどんな活動・仕事もできる)

 

※通常の就労系の在留資格は、その在留資格1つひとつに「日本で行うことができる活動内容」が決められており、その活動以外の報酬を受ける活動はできません。しかし、永住者(及び日本人の配偶者等、永住者の配偶者等並びに定住者)については、そういった活動制限を受けません。

例えば、「経営・管理」の在留資格を持って在留している外国人の方は、自分が経営するA会社の経営者としての活動や、管理者(部長、支店長等)としての活動をしながら、別に、Bインド料理店において外国料理の料理人として継続的に報酬を受ける活動をするといったような働き方は原則的に許されません。しかし、「永住者」の在留資格(ビザ)保持者が、会社の経営をしつつ、その会社とは別の(あるいはその会社が展開している)料理店で料理人として活動することは、労働関係法令その他の法令に違反しない限り何の問題もありません。

 

☆注意事項☆

・在留期間はなくなるが、「在留カードの有効期間の更新」は必要。

・外国人であることに変わりはない為、住居地変更の届出等の入管法所定の届出義務はなくならない。

・外国人である事実に変わりはない為、退去強制事由や在留資格取消事由に該当すれば、他の外国人と同様に退去強制又は在留資格の取消しの対象となる。

・再入国許可の期間内に再入国しなかった場合は、永住者であっても在留資格を失う。

・再入国許可を受けずに出国した場合は、永住者であっても在留資格を失う。

 

【取得のための条件】

・「永住者」の在留資格(ビザ)を取得するためには、法定要件として大きく3つの要件があります。

➀素行善良要件

➁独立生計要件

③国益適合要件

以上、法定要件としては3つですが、実際にはその3つの中で細分化されており、かなりの条件をクリアしなければなりません。したがって、永住許可を取るのは容易ではなく、計画的に準備するくらいの覚悟が必要です。現行法上に存在する在留資格の中で最難関と言っても過言ではない在留資格と言えます。

 

【帰化との比較】

・「永住者」と似たものとして、前述の「特別永住者」以外に、「帰化」というものがあります。実際に、「永住と帰化って何が違うの?」という質問も時々お受けします・

これについては、以前のブログでも書いているので、復習程度にさせていただきますが、要するに「外国人のまま日本に永住したい」場合は永住者、「日本人になって、日本人として日本に住みたい」場合は帰化を選択します。

・なお、「帰化」という制度は、入管法ではなく「国籍法」という法律で定められており、帰化を希望する外国人は法務大臣の許可を受ける必要があります。

・「永住者」と「帰化」どちらがとりやすいの?というのもよくある質問ですが、はっきり言ってどっちも同じくらいです。若干、帰化の方が緩いとおっしゃる行政書士の先生もいらっしゃいますが、そこまで大差は有りません。

・「永住者」と「帰化」の大きな違いの一つとして「手続き」に関する違いがあります。「永住者」の手続について、申請人である外国人の方本人は、我々行政書士に依頼すれば、原則として、入管に出向く必要がありません。一方「帰化」については、本人出頭が原則であるため、申請人本人の方は必ず出頭が必要です。しかも、帰化の申請は1回の出頭では終わりません。3~6回ほど出頭して、やっと申請が受理されるかどうかというのが一般的で、申請人の方が平日中々休めない場合や、法務局(帰化の申請先は入管ではなく法務局。しかし、許可権限者はいずれも法務大臣)の予約スケジュールに合わない場合は、申請を受理してもらうだけで半年以上かかるというケースもあります。

・よって、手続きに関しての外国人の方本人の猥雑さは、圧倒的に帰化の方が上ですが、帰化が許可されれば、日本人となるので、上記「【永住者のメリットと注意事項】​の注意事項」は気にしなくてよくなります。(そのかわり、原則として、元の国の国籍は失います。)

 

以上、今回は「永住者」の在留資格(ビザ)についての第1回目ということで、総論的な内容を書かせていただきました。次回以降、上記の「3つの法定要件」について解説していこうと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。