長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。
また寒さがぶり返してきましたね。しかも、天気も悪いという・・・。何となく天気が悪くて寒いと、テンション下がりますよね。
先週は、打ち合わせが多く外出が多い週でした。最近は、地道な営業活動(?)も少しずつ展開しているので、歩き回ることが多くなりました。先週も1日15,000歩歩いた日がありました。
まあ、座ってパソコンいじる時間が多いので、健康のために歩くことは重要ですね。
というわけで、今週も頑張っていきましょう!
今回は「株式会社」と「合同会社」という2つの会社を比較してみます。会社を設立するに当たってどちらが自分に適しているか?と悩む方も多いこの2つの会社の種類、その判断に少しでも参考にしていただければと思いこのようなブログを書いてみます。
なお、そもそも「株式会社」と「合同会社」の違い自体が全く分からない場合は、前回(第66回)の「会社の種類」のブログをご参照ください。
また、前回のブログで紹介したように、会社の種類には上記2つ以外に合名会社と合資会社というのもありますが、現時点ではその2つはかなり少数派なので、株式会社と合同会社で比較していきます。
では、行きましょう。
[費用面]※この「費用」については、ざっくりと解説しますので、イメージ程度で読み進めてください。
結論:株式会社の方が費用がかかる。
まず最初に頭に浮かぶのが、会社を設立するために必要な費用ですよね。どのくらいお金がかかるのか、これは誰もが疑問を抱くところです。
この点では、上述した通り株式会社の方が費用がかかります。
まず「合同会社」を作成するためのステップは、
①定款作成 ⇒ ②出資 ⇒ (③許認可)⇒ ④(③)設立登記 ⇒ 合同会社成立
まず、①の定款作成です。
これは、自分で作ればただです。専門家に頼んだりすると、その分お金がかかります。なお、定款とは、その会社における憲法ともいわれる、基本ルールを定めるものです。この定款については、また別の機会でブログに書いてみようと思っています。
ただし、定款を紙で作成する場合は「印紙代」がかかります。だいたい40,000円くらいです。なので、定款の作成を行政書士等の専門家に頼むと、40,000円+その報酬(10,000円前後?)がかかります。
↑で「紙で作成する場合」と書きましたが、紙以外で作成することもできます。それが「電子定款」です。つまり、パソコンなどを使って定款を作成し、電子署名を付して作成する方法があります。ただし、この方法は、単にワードで作ってPDF化すればいいわけではなく、電子署名を購入し、パソコンで色々な設定をして、やっとできるようになる方法です。要するにめんどくさいし、お金もかかります。せっかく自分で作成しても、その準備のために印紙税額と同じくらいの額がかかってしまうので、合理的ではありません。なので、だいたいのケースは行政書士等の専門家に作成依頼することが多いようです。
例外的に、1つの会社ではなく、いくつも会社を立ち上げる場合などは、個人で電子定款作成にチャレンジする価値はあるかと思います。
次に、②の出資です。
これは、いわゆる資本金の額によります。資本金とは、その会社の元手となる資金です。株式会社も合同会社も、資本金の額は自由に定めることができ、1円でも100億円でもOKです。
なお、外国人の方が経営者として、会社を設立して「経営・管理」の在留資格を取得したい場合は、この資本金の額を「500万円以上」にしなければなりませんので注意が必要です。※1
※1 厳密に言えば、必ずそうする必要はないですが、実務上、その会社が超大企業関連の新会社等でない限り、そうしないと許可を取るのは困難です。
次が、③の許認可です。
これは、場合によって必要になります。例えば、レストランを経営する場合は「飲食業の許可」、中古自動車販売等を行う場合は「古物商許可」、建設業を一定の規模で行う場合は「建設業許可」、旅行会社を立ち上げる場合は「旅行業許可」など、いわゆる「免許・資格」が必要な部類の会社を立ち上げる場合には、登記の前にそれを取得します。
その際には、それぞれの手続に応じた手数料等が必要になってきます。
最後が、④(③)の設立登記です。
株式会社・合同会社ともに、この「登記」によって成立します。
登記には「登録免許税」という費用がかかります。
この費用も、原則として株式会社の方が高いです。
株式会社は、15万円~
合同会社は、6万円~
となっています。
で、登記を自分でやる場合は上記の登録免許税で済みますが、基本的に専門家である司法書士に依頼するケースが多いと思われます。その手数料が、別途かかるのでそれが追加で必要となります。司法書士や内容によりますが、5万~10万程はかかると思っておいた方がよいでしょう(手数料が)。
[設立のために必要な期間]
結論:株式会社の方が時間が少しかかる。
株式会社の設立方法には「発起設立」と「募集設立」の2種類の設立方法があります。募集設立は、発起人以外の出資も求めることや、創立総会を開催する必要があることなどで時間がかかりますので、「発起設立」の方が短期間でできると言えます。
その「発起設立」でも、10日ほど登記申請にこぎつけるまでかかります。
それに対して、合同会社は、早ければ7週間かからずに設立登記申請までいけます。
なお、いずれの場合も、登記申請から1~2週間で登記が完了し、会社が成立します。
[信用・知名度]
結論:株式会社(2023年現在)
次に、信用度・知名度ですが、現時点の日本では、一般的に「会社=株式会社」であり、合同会社って何?という一般の方が多いかと思います。
なので、現状でいえば「株式会社」の方が、少なくともお客さん目線では安心感があると言えるでしょう。
しかし、昨今はこの「合同会社」が認知され始めており、また、2011年→2021年の10年間の1年あたりの設立件数も3倍以上に増えているというデータもあります。
また、行政書士をはじめ、会社設立との関連が強い司法書士等の専門家や公証役場も、最近では場合に応じて合同会社を推している傾向があり、近い将来、今以上の認知度を獲得するものと思われますので、この信用・知名度はそこまで気にしなくてもいいような気が個人的にはします。
[資金の獲得のしやすさ]
結論:株式会社の方が獲得しやすい。
これは、当然ですね。株式会社は、原則として、株式を発行して、不特定・多数の方から出資を集めることを前提としているので、出資者=社員(会社の従業員という意味ではない)である合同会社と比べたら、この面では圧倒的に株式会社が向いています。
[出資者の最低人数]
結論:同じ
株式会社も合同会社も、1人で設立することができます。
※外国人が経営・管理の在留資格を取得して飲食店を経営する場合は、最低でも、コック1人、ホールスタッフ1人の計3名はいる等、外国人の方は日本人が会社設立する場合とは異なる条件も直接的・間接的にでてきますので注意が必要です。
[議決権]
結論:下記にて解説
議決権、とは簡単に言うと会社の経営方針を決定するための権利です。
株式会社:原則1株、1議決権。つまり人数は関係なく、たくさん出資した人ほど権利が得られる。
合同会社:原則1人、1持分。出資額は関係ない。
原則的な話として、株式会社は金を沢山出せば出すほど、その会社へ自分の意見を通すことができます。株主総会の普通決議は、出席した議決権の過半数ですので、51人で49%の株式を保持しており、その全員がある議題について反対しても、51%の株式を1人が持っていれば、その1人の意見が会社の決定となります。
一方、合同会社は、1「人」につき1「議決権」を持っているようなイメージです。10人の社員(出資者)がおり、その内9人が10万円ずつ、残りの1人が1000万円出資していても、会社の方針の決定はに関しては、1000万円を出資した人の意見が通るとは言えません。
※上記は、あくまでも原則であり、定款で定めることで別段の定めをすることもできる場合があります。
[出資者の責任]
結論:どちらも有限社員
・出資者が「出資額」を限度としてしか会社の債務の弁済責任を負わないことは、両者共通しています。この点が、この2つの会社の設立が多い理由です。(合名会社・合資会社には、その全員又は少なくとも1名以上は、自己の財産をもってしてでも会社の債務を弁済しなければならない無限責任社員が必要。詳細は、前回のブログ参照。)
[それぞれの会社を選ぶべき典型例]
株式会社向き
・出資を多く募りたい。
・大規模な会社経営をしたい。
合同会社向き
・1人で会社を作り、そこそこ売上が見込まれる場合。
・信頼関係のある数人で、強い信頼関係の下で会社を経営したい。
・定款自治で会社を運営していきたい。(合同会社は、定款で定めることで原則と違いルールを定めることができる事項が多い)
※なお、まずは合同会社を作っておいて、事業が軌道に乗ってきたり、事業規模を更に拡大したい、というようになったら、合同会社⇒株式会社への変更も可能です。
合同会社でいいのではないか?というケース
・その会社が、有名企業の子会社等である場合。(親会社の名前で十分やっていける)
・有名野球選手が、引退後に個人会社を作って野球関連の公演等を受託するような場合(既に知名度があるため、株式会社や合同会社等そもそも気にする必要もない。)
・飲食店、商店等。そもそも会社の看板などには「○○株式会社」や「△△合同会社」等とうたう必要がないため、会社の種類はあまり関係ないと言えます。
以上。今回は今現在設立件数が多い2大会社「株式会社」と「合同会社」を比較してみました。皆様が会社設立される際に、少しでも参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。