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【第68回】合同会社と個人事業~どっちがいい?②~

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。

今日から4月、新年度ですね。新年度のスタートが月曜日ということで、なんとなく「よし、頑張ろう!」と思えるから不思議ですね。

土曜日あたりから22℃前後の気候となり、一気に暖かくなってきましたね。服装も1週間前とは様変わりするほど薄着になりました。

そして、今日から改正民法の施行ですね。772条の嫡出推定の規定と嫡出否認の訴えの出訴権者の変更が大きなものですね。後者については、昨日までは父にしか認められていませんでしたが、今後は、父、子、母からも条件を満たせば訴えを提起することが可能になりました。

食品も多数が値上げされるなど、新たな年度のスタートとともに色々変わっていきますね。

では、今年度もブログスタートします!

 

今回は、前回シリーズの第2弾で行こうとおもいます。

前回は「株式会社と合同会社」について簡単に比較しましたが、今回は「合同会社と個人事業」について比較してみたいと思います。今回のブログも、前回同様、今後起業を検討されている方の一助になればと思い、そういった観点で書かせていただきます。

 

【費用面】

結論:「個人事業」の方が安い。

まずは、やっぱり費用面から行きましょう。これは個人事業の方が安いです。

前回、株式会社と合同会社を比較した際は合同会社の方が安い、という結論をご案内しましたが、個人事業と合同会社では個人事業の方が安いです。

もちろん、設備や施設、仕入などは同じ量準備・調達するなら同じだけ費用がかかりますが、個人事業は登記や定款作成等をする必要がないので、その分安く済みます。

そして、忘れてはならないのが決算・確定申告ですね。私のような行政書士事務所で、まだまだお金が動いていないような事務所は、はっきり言って確定申告は簡単です。

しかし、法人になると決算がとても大変となり、基本的には税理士さん等に入ってもらって処理してもらう必要が出てきます。そのため、そういった税理士報酬等もかかってくることは計算に入れておいた方が良いですね。(なお、個人事業でも、飲食店等業種によっては経理処理が猥雑になるものもあり、個人事業主でも税理士さんを入れないと難しいことは普通にあります。)

 

【事業開始までの期間・めんどくささ】

結論:圧倒的に「個人事業」の方が早く、簡単。

個人事業は、税務署に開業届を出すだけで始めることができます。本当にそれだけで、その開業届も特にしっかり確認することなく、驚くほどあっさり受理されて終わります。極端な話、1日で事業を開始することもできなくはありません。

もちろん許認可が必要な事業を始める場合は、その許可や認可、届出を実施する必要がありますし、事務所を借りたり、設備をそろえたりする必要がある事業のときは、そういったことも必要ですが、これらは個人事業・合同会社等関係なく原則として必要です。

一方合同会社は、定款の作成から始まり、出資の履行、そして登記申請を経てやっと会社が成立し、事業を開始できる、ということで、定款を作成し始めてから、登記の申請をし、会社が成立するまでに、少なくとも1カ月くらいはかかるでしょう。

 

【預貯金口座】

結論:合同会社の方が作りやすい。

事業用の預貯金口座ですが、これは個人事業主が屋号で作るのは困難です。私も、特に何も考えず近くの銀行等へ行って聞いてみたら、ほぼ作れないなあと思い早々に断念しました。

合同会社は法人(法の下では我々人と同じ)なので、成立後に口座を作ることは、個人事業主に比べればまだ簡単に作れると思います。

 

【社会的信用度】

結論:合同会社が圧倒的に上

これは圧倒的に合同会社です。法人格を持っていれば、登記されますので、その基本情報は法務局で確認することができますし、代表者の情報も見られます。登記も何もなく、全く知らない個人事業主と取引するのはやはり少し気が引けますよね。(この部分は、私も苦労しているところです。)

社会的信用度があれば、銀行などからの融資も受けやすく、資金調達なども個人事業主に比べたら格段にしやすいでしょう。

そもそも企業等の中には、原則として個人事業主とは取引をしない、というようなところもあるので、特に企業や団体を相手に事業を展開する場合には、合同会社を選択する方が無難、ということになるでしょう。

 

【税金面】

結論:ケース・バイ・ケース

この分野は、税理士さん等の専門領域であり、私もそこまで詳しくはわかりません。

が、簡単にいうと、売り上げが少ないうちは個人事業主、ある程度の売り上げがあるのであれば法人の方が税額が安くなるということです。

所得税(個人事業主にかかる税金)は、所得に応じて(所得が多くなるほど税率が上がる)税率が変わる累進課税方式です。一方、合同会社等の法人には法人税がかかり、法人税率は一律です。したがって、ある程度以上の売り上げ(収益)があると、所得税額が法人税額を上回ることになります。

この方式のため、ある程度成功し始めた個人事業主が、法人へ変更(いわゆる「法人成り」)するということが行われるのです。

 

【人材確保】

結論:合同会社が確保しやすい。

これも当然ですね。例えば、法律事務の事務職の求人を探している人がいる場合に、個人事業主の求人情報と法人(例えば弁護士法人〇〇等)の求人情報があったとき、どっちを先に選ぶかということです。個人事業主が著名な人物である場合のような特殊な場合を除き、多くの人は法人の求人情報に目が行くのではないでしょうか。

もし将来的に従業員やアルバイトを雇いたいと思っているのであれば、合同会社を選ぶ、というのも一つの選択肢かと思います(もちろん、個人事業で始めて、途中から合同会社へ形態を変えるのもあり)。

 

【事業年度】

結論:合同会社の方が自由に決められる。

個人事業主は、1月~12月分の事業実績について、翌年3月中旬までに確定申告をする必要がありますので、事業年度は1月~12月となります。

一方、合同会社については、事業年度を定款で自由に定めることができます。6月1日~翌年5月31日までを1事業年度とすることも、4月1日~翌年3月31日までを事業年度にすることもできます。

 

以上、今回「合同会社」と「個人事業」を簡単に比較してみました。

少しでもこれから起業を検討されている方のアドバイスになればうれしいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。