長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。
つい最近2024年が始まった感覚ですが、気づけばもう1年の3分の1以上が過ぎ去り、世間はゴールデン・ウィークになってますね。
昨日は夏日で、日中は半袖で十分になり、私も一気に薄着になりました。
まあ、個人的に冬より夏の方が好きなので、うれしいのですが、なんせ時が経つのが本当に早く、いろんな意味で焦りもないこともない・・・という複雑な気分です(笑)
とはいえ、頑張って生きていくしかないので今週もいっときましょう!!
今回も引き続き会社シリーズです。前回は、主に「取締役・代取」と「株主総会と取締役会」の関係性に触れながら説明しました。
今回は、「会社」において重要な役割を果たす機関でもある「監査役・監査役会」について書いていこうと思います。
【監査役とは】
まずは安定の疑問点からいきます。監査役って何よ?というところですね。
監査役は、株式会社における機関の一つであり、会社法上の「役員」に該当します。なお、会社法上の役員は取締役・監査役・会計参与の3つのみです。従って、よく聞く執行役員等は会社法上では「役員」に当たりません。(ちなみに、執行役は会社法上役員ではありませんが、会社計算規則上は役員です。)
監査役の役割は、2つあります。
①取締役(会計参与)の職務の執行の監査
②監査報告書の作成
「①」は、要するに取締役がちゃんと仕事をしているか、チェックし、問題あればちゃんと対処するということです。
「②」の監査報告書は、2種類あります。取締役の業務の監査(業務監査)と会計に関する監査(会計監査)です。前者は、文字通り取締役がその職責を果たしているかの調査・検査、並びに不適当なことがあった場合には所有者である株主総会の報告等することであって、後者は、取締役が作成した計算書等(貸借対照表、損益計算書等)をチェックすることです。
【監査役の権限と義務】
監査役は、いわば会社がおかしな方向にいかないよう経営者(取締役)をチェックすることが大きな役割です。従って、取締役(使用人等も)と監査役を兼務することはできません。
また、監査役の権限は強く、例えば、取締役の業務執行におかしな点があると思料する場合は、いつでも取締役や使用人(会社の従業員等)に対して、いつでも、業務の執行や状況などについて報告を求めることができます。更に、そういった場合には、取締役会を招集するよう取締役に請求でき、招集されないときは自ら取締役会を招集することもできます。
そして、その役割からして、監査役の選任は株主総会で行われます。仮に、監査役の選任を取締役会で行うことができるとなると、監査役はチェック対象である取締役の顔色を窺うようになってしまい、本来の職責を果たせません。なので、取締役を選任した株主総会が、その取締役をチェックしてもらう人として別途監査役を選任して、業務の適正な執行を実現させるのです。
一方、監査役の義務としては、取締役会への参加及び必要な場合には意見を述べる義務、株主総会の議案を調査し、法令や定款に違反している事項等があればそれを株主総会に報告する義務等があります。
【監査役の責任】
上記のように、大きな権限を持ち、義務を課されている監査役ですので、その責任も重くなっています。監査役には、取締役同様「任務懈怠責任」があります。つまり、任務を怠ったことにより会社に損害を与えた場合には損害賠償請求される可能性があります。しかも、いわゆる株主代表訴訟の対象にもなっており、株主から訴訟を起こされることもあり得ます。
さらには、悪意・重過失がある場合には、会社以外の第三者への損害賠償責任も生じます。例えば、取締役の粉飾決算を長年に渡り見て見ぬふりをしてきたために、取引先(第三者)に大きな損害が生じたというような場合は、見て見ぬふりをしていた監査役についても損害賠償請求が及ぶ可能性があります。
【監査役会とは?】
監査役会は、取締役会の監査役バージョンといった感じです。つまり、監査役全員で構成される会議体です。
監査役は、1人でも問題ありませんが、監査役会を設置する場合には、監査役は3人以上置く必要があり、更には、その内半数以上は社外監査役である必要があります。すなわち、監査役が3人の場合は、2人以上、監査役が4人の場合は2人以上、監査役が10人の場合は5人以上が社外監査役でなければなりません。(会社法335条には「過半数」ではなく「半数以上」と明記されています。)
監査役会を置くか否かは、原則としては任意です。置きたければ置けばいいし、置きたくなければ置かなくてもいいです。ただし、委員会設置会社を除き、公開会社(一部でも譲渡制限株式を発行していない会社)かつ大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上の会社。つまり大企業)は監査役会の設置が義務付けられます。(委員会設置会社では、監査等委員会又は監査委員会が置かれるため、役割が重複する機関となるため、監査役(会)を置くことはできません。)
従って、公開会社かつ大会社は、取締役会、監査役会(委員会設置会社除く)、会計監査人の設置が義務付けられます。従って取締役3人以上、監査役3人以上(内2人は社外監査役)、会計監査人1人以上を設置しなければならないため、それだけ人件費がかかるという言い方もできます。まあ、そもそもそれほど大きな規模の会社を1人で管理することはできませんから、ある程度の組織体制があってしかるべきではありますよね。
以上、今回は取締役・会計参与とともに会社法上の役員でもある監査役および監査役会について簡単に書かせていただきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。