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【第75回】株主の地位・権限・責任

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。

5月ももう半分以上が過ぎましたね。う~ん、早い!

昨日は、2024年パリ五輪の体操男子の代表選手が決まる「NHK杯」があり、それを熱心に観ていました。私も体操をやっていましたが、私が現役のころには想像できないような演技構成ですね。私が高校・大学の頃は、エンドー系1つ、アドラー、コバチ、下り技くらいで1つの演技が終わっていましたが、今では、離れ業4つとか入れて、更にアドラーひねり、順手背面車輪などもやって・・・信じられない進化です(笑)

まあ、やはり体操競技を観るのは楽しいですね。自分が全く到達し得なかった境地で、高いレベルで競い合う若者たちを観るのは、私にとっても刺激になります。仕事がんばらなきゃですね!

 

というわけで、今週も行きましょう。まだまだ続きます「会社シリーズ」です。

今回も、株式会社に関する内容で書きます。今回は、株式会社の中核中の中核、基本中の基本ともいえる「株主」にスポットを当てていきます。

【株主とは?】

株主とは、株式会社の所有者です。株主は、1人の場合もあれば、1万人の場合もあります。何となく、株式会社では取締役等が偉いというイメージの方もいると思いますが、一番偉い(偉いという表現が正しいかどうかは別として)のは株主です。取締役を選ぶのも株主(株主総会)です。

株主は、原則として、株式会社の一切の事項を決めるほどの権限を持っています。

※ただし、取締役会を設置している会社では、その権限が若干弱まります(その代わりに、監査役の設置が義務付けれたりすることで、監視機能の充実が法定されている。)

 

【株主になる方法・地位(株式)】

2つの方法があります。

1つ目は、出資。2つめは、譲渡です。

1つ目の「出資」とは、株式会社に対して金(等)を払うこと、と言えばわかりやすいかと思います。つまり、株式会社に対して「このお金を事業のために使ってくれ」という感じで、支出した人は、全員株主です。この出資と引換えにもらえるのが「株式」です。

2つ目の「譲渡」は、ある株主から上記の「株式」を買ったり、もらったりすることです。例えば、ある株式会社の株主であったAさんが、自己が所有する株式を、Bさんに売ったり、Aさんが死亡して、その株式をCさんが相続により取得することなどが代表例ですね。

 

【株主の権利・権限】

株主は、その株式を所有する株式会社に対して様々な権利を持っています。

代表的なものが、まず「自益権」です。これは、その株式会社から経済的な利益(お金等)を受ける権利です。まず、株式会社に儲けがでた場合には、その儲けから「配当」を得ることができますし、仮に、会社が解散(事業をやめる)する場合において、清算(会社の債権・債務をきれいに片付けること)後に残余財産(お金や物等)があれば、その配当を受けることもできます。

次が「共益権」ですね。これは、株主が、会社の経営に口を出したり、その監督をしたりする権利と言えます。もちろん、株主は直接会社の経営に口を出すことはできません(所有と経営の分離)から、間接的に株主総会という機関での意思決定において、会社を監督することになります。そして、このときに「議決権」というものを行使することによって、それを実現させます。

そして、この「議決権」は、1株式につき1議決権が与えられるのが原則です。ここで注意するのは「1人1議決権ではない」ということです。合同会社では、原則として「1人1持分」です。

つまり、株式会社では、たくさんお金を出した(出資した)者が、大きな力を持ちます。株主総会の決議(普通決議)は、議決権の過半数で決するので、ある株式会社の株式の51%を持っている人は、一部の事項を除き、仮に他の株主の全員が反対でも、その人1人でその会社方針等を決めることができてしまいます。

議決権のほかにも、以下のような株主の権利もあります。

議案提案権(株主総会における議案・議題を提案する権利)

違法行為差止請求権(取締役等に不法行為等がある場合に、それをやめるよう求める権利)

株主総会招集権(一定の場合に、一定の条件で株主が株主総会を招集できるという権利)

書類等の閲覧請求権(定款、株主名簿等の閲覧を求める権利)

 

上記以外にも、まだまだたくさんの権利があります。

また、株主の権利には、1株持っていれば行使できる「単独株主権」と、一定以上の株式数を持っていないと行使できない「少数株主権」の2つに分けることもできます。必ずしもそうというわけではなく、例外も多々ありますが、原則的に「自益権」は単独株主権です。共益権の中には、どちらも存在します。

 

【株主の責任】

以前のブログでも説明しましたが、株主は「間接有限責任」です。つまり、会社債権者(例:株式会社に対して物を売掛金で販売し、その回収をする権利を持っている他の会社等)に対して直接責任を負わず、かつ、一定の額までしか弁済等(お金を支払う等)する責任を負いません。

例えば、A株式会社が100億円の債務を抱えたまま倒産したとします。この場合、当然A株式会社に対して債権を有する会社等は、その100億円を回収したいです。この場合において、仮にAに対して100万円を出資したXさんは、その出資した100万円は返ってきませんが、それだけで責任を果たしたことになります。つまり、Aに対して債権を有する会社等が、Xさんから100億円を回収することはできませんし、Xさんも仮にそんなことを言われても1円たりとも応じる必要はないということです。

以前のブログで出てきた合資会社・合名会社においては、このようなケースでは、個人の資産をなげうってでも返済する必要が生じる(直接無限責任という)社員が出てきますので、それに比べれば株主の責任は非常に軽いと言えます。

株主の責任が軽い=気軽に出資ができる=出資を集めやすい、ということで、株式会社は不特定かつ多数の人から、出資を集めやすく、結果として大規模な会社経営には最も適した会社形態と言えますね。

 

以上、今回は基本的な内容に終始しましたが、株式会社の所有者「株主」について書きました。

最後までお読みいただきありがとうございました。