loader image

【第8回】在留資格の紹介②~技術・人文知識・国際業務~

​今回は、前回に引き続き在留資格の紹介パート2として「技術・人文知識・国際業務」について条件や内容を紹介します。 こ

の資格は、「技術・人文知識・国際業務」で1つの在留資格ですが、ここでは「技術・人文知識」と「国際業務」の2つに分けて書いていこうと思います。

まず、「技術・人文知識」です。これは、とてもシンプルに説明すると「技術」が理系の技術者(自然科学分野)、「人文知識」が文系の専門家(人文科学分野)といったところでしょうか。これらの在留資格を得るためには、まず下記3点のうちの1点に該当する必要があります。

①就こうとする職務に関連する科目を専攻して大学を卒業

②就こうとする職務に関連する科目を専攻して日本の専修学校の専門課程を修了

③就こうとする職務について10年以上の実務経験

以上のいずれかに該当しないとこの在留資格は取れません。
①・②のポイントは単に大学・専門学校を卒業しているだけではだめで、大学・専門学校での専攻と就こうとする職務との関連性があることも必須条件です。したがって、大学の文学部を卒業した学生を、化学工場での工学等の専門知識をようする業務に従事させるために採用することはできません。なお、大卒と専門卒でどちらが在留資格を取りやすいかと言ったら、大卒です。大学での専攻と職務の関連性より、専門学校でのそれの方がかなり厳しく見られます。                 ③により、学歴がなくても就こうとする職務(又は関連する職務)について10年以上の実務経験があれば、技術・人文知識・国際業務の在留資格を取るための条件を満たします(過去の勤務先発行の在職証明書で証明が必要)。なお、「10年以上の職歴」は実務上、高校卒業後の職歴しかカウントされないと考えた方が無難です。したがって、20代前半の外国人の方が③で許可を取ろうと思っても難しいです。

次に「国際業務」です。これを一言で説明すると「外国人でないと行い難い業務」です。国際業務は、上述の「技術・人文知識」よりも学歴・職歴が緩和されています。具体的には、外国語スクールの先生、外国語を用いた海外ビジネス、翻訳や通訳など、日本人が対応するよりも外国人が行った方が効率的な業務です。「国際業務」は、就こうとする職務に関して「3年以上の実務経験」があれば足ります。また、「翻訳・通訳・語学の指導」の仕事に関しては、大卒であれば実務経験・専攻に関係なく「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取るための条件を備えます。

最後に「技術・人文知識・国際業務」全体に共通して、外国人の報酬を「日本人と同等額以上」にする必要があります。つまり、同じ職場で、同じ業務に従事している日本人労働者と、当該外国人の給料が同等でなければ許可はおりません。

また、日本人労働者と同等であっても、最低賃金を下回っているような場合も許可はおりません。当然ですね・・・。 また、この在留資格は「日本の公私の機関」との「契約」に基づいて行われることも条件となっていますが、「雇用契約」である必要は必ずしもありません。委任、請負、業務委託、派遣等でも「契約」であれば該当性はあります。また、常勤・正社員とも法律上明記されていないので、非常勤・アルバイトでも可能ですが、実務上はやはり常勤・正社員の方が許可はおりやすいです(とくに3年・5年の在留資格はおりにくい)。

 

今回は「技術・人文知識・国際業務」について簡単に書かせていただきました。​