長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。
6月もあっという間に最終週ですね。そして、ついに来ました・・・梅雨入りです。
早速、曇天&超じめじめした気候が続いていますね。
しかし、この時期で唯一うれしいことがあります。父の実家が山形なのですが、毎年佐藤錦を送っていただいていて、今年もいただきました。
ニュースで不作と聞いていましたが、実際にいただいてみるとめちゃくちゃおいしいです。
父が亡くなった後も、変わらず気にかけていただいている父方の親戚の方々には本当に感謝しています。山形は遠いのでなかなか行くことができませんが、何とか機会を作って訪れたいと思います。
というわけで、6月最終週のブログ始めます!
今回も「会社シリーズ」で行きます。そして、株式会社に関することです。
今回は「種類株式」というものについて触れていこうと思います。
では、スタートです。
【種類株式とは】
株式は、原則として1株につき1議決権が与えられています。
しかし、株主の中には「会社への支配」を目的をする人もいれば、そんなものには興味がないけどとにかく「利益(=配当等の経済的利益)が欲しい」という思いの人もいるでしょう。
そこで、会社法では、内容の異なる2以上の株式を発行することを認めています。これが種類株式です。
この種類株式は定款の「相対的記載事項」となります。従って、定款に記載しておかないと効力は生じない事項となります。つまり、定款に記載していない場合は、1株1議決権という普通の株式1種類のみが存在することになります。
【種類株式の種類】
①剰余金配当優先(劣後)株式
➁残余財産分配優先(劣後)株式
③議決権制限株式
④譲渡制限株式
⑤取得請求権付き株式
⑥取得条項付き株式
⑦全部取得条項付き株式
⑧拒否権付き株式
⑨役員選解任条項付き株式
【①剰余金配当優先(劣後)株式/②残余財産分配優先(劣後)株式】
①は、読んで字のごとく、会社から配当(配当金など)を受けるときに、他の株式より有利な(又は不利な)条件でそれを受けることができる株式です。
例えば、普通株式と剰余金配当優先株式が定款で定められている場合には、配当の場面において、普通株式よりも有利な条件(例えば、普通株式より1株につき50円上乗せして配当する)で行うことが可能になります。(不利な条件を付することも可能です)
②も、上記に似ています。会社が解散する場合に、清算(その会社の債権債務を整理すること)後の残余財産がある場合に、その残余財産の配当を優先的に(劣後的に)受けることができる株式です。
以上の2つの株式は、会社の経営や支配には興味はないが、配当(経済的利益)を受けることは優先したい、という株主には魅力的な株式と言えるでしょう。
【③議決権制限株式】
これは、株主総会での議決権を制限する株式です。前述のとおり、株式は、1株式につき1議決権が与えられるのが原則ですが、それを制限しようというものです。
議決権制限株式には、例えばある株式にはすべての事項について議決権を与えるが、もう一方の株式には、ある一定の事項(例えば、役員の選任)については議決権を与えない、といった内容を付することなどができます。
また、ある株式にはすべての事項について議決権を与え、もう一方にはすべての議決権を与えない、とする株式の発行も可能です。
こちらについても、上記①・②と同様に、会社の経営や支配に関心のない株主などに向けて発行されることになります。
【④譲渡制限株式】
株式は、自由に譲渡(売却)することができるのが原則です。
したがって、定款にこの譲渡制限株式を定めない限り、株主は自由に株式の譲渡ができてしまいます。
このような場合に、それを制限するために発行される株式が、この譲渡制限株式です。
例えば、相当数の株式を保持する株主が、その保持する株式を第三者に譲渡してしまうと、その会社の経営方針やあり方などが大きく変わってしまう可能性もあります。
そこで、勝手に譲渡されないように、「もし株式を譲渡する場合には会社の承認を得てくださいね」という条件を付けることにより、株式の自由な譲渡を制限することを可能としています。
なお、譲渡を禁止することはできません。
この譲渡制限株式は、上記①~③の種類株式とは異なり、発行する株式の全部をそのような内容の株式とすることができます。そして、その発行する株式の全部に譲渡制限を付けた会社を「非公開会社(公開会社でない会社)」といい、一部でも譲渡制限をかけていない株式を発行する会社を「公開会社」と言います。
【⑤取得請求権付き株式/⑥取得条項付き株式/⑦全部取得条項付き株式】
⑤は、株主から会社に対して、その株式の取得(購入)を請求することができる権利を付けた株式のことです。この株式を発行するためには、定款に取得権を行使することができる期間や取得の対価の種類等の一定の事項を定めなければならないとされています。
⑥は、会社から株主に対して、定款で定めた事態が発生したときに、その株式を会社が取得(購入)することができる株式です。この場合には、取得することとなる事由や取得の対価の種類等の一定の事項を定款で定める必要があります。
⑦は、「⑥」に似た名称ですが、その取得事由が株主総会の特別決議によるものです。つまり、何らかの事由が生じたときに、株主総会を開き、全部取得条項付き株式について取得の決議がされた場合には、会社がその種類株式を持っている株主に「その株式をよこせ(買う)」ということができるということになります。
なお、この取得の価格が納得できず、当該株主総会で反対する等一定の条件を満たした株主に限り、裁判所に対して取得価格の決定の申立てができる、という仕組みもあります。
【⑧拒否権付き株式(⑨は省略)]
これは別名「黄金株」とも呼ばれるものです。
種類株式発行会社(2種類以上の内容の異なる株式を発行している会社)には、通常の株主総会とは別に、その種類ごとの種類株主総会が置かれるのが原則です。
そして、この拒否権付き株式を持っている株主は、その種類株主総会において、通常の株主総会や取締役会で既に決議した事項について、それを拒否することができる権限が与えられます。
これは、敵対的買収などの対策として大きな意義があります。例えば、ある敵対する法人等に議決権の過半数を取得され、通常の株主総会で取締役等の解任が決議されたとしても、拒否権付き株式の種類株主総会でそれを拒否することができます。
【組み合わせも可能】
上記で見てきた種類株式は、その内容を組み合わせることもできます。
例えば、議決権制限株式と剰余金配当優先株式を組み合わせて、議決権は与えないが、剰余金の配当は優先する、という種類株式や、拒否権付き株式と譲渡制限株式を組み合わせて、その支配を揺るがないものにすることも可能です(ただし、後者に関しては悪用のおそれもあり、特に上場企業などについては一定の制限があります。)
以上、今回は「種類株式」について書いてきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。