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【第83回】遺言を遺す意義

長久手市の在留資格(ビザ)・相続・遺言・後見等「終活」業務に強い行政書士、竹内です。

3連休も本日で最後ですね。

昨日は、トランプ前米大統領が演説中に狙撃されてあわや、という事件で持ち切りでしたね。何はともあれ、ご無事で何よりです。

梅雨もそろそ開けようかというところで、連日雨天が続いていますね。でも、もう少しの辛抱です。ただ、6月下旬~本日あたりまでの異常な暑さを考えると、梅雨明けの夏本番は、いったいどうなってしまうのか、少し怖いです。(でも夏は大好きです!)

では、今週も始めましょう。

 

前回より、ブログテーマが相続・遺言その他の周辺業務、いわゆる「終活」業務へと変わりました。この終活業務については、今注目されており、かつ、求められている分野と言えるかもしれません。

今回は、その「終活」の中でも基本といえる、「遺言」について書いていきます。今回は、その遺言の種類と内容・意味について触れていきますのでお付き合いください。

 

【「遺言」とは?】

そもそも「遺言」とは、自分が持っている財産(預貯金、不動産、株式、会員権などのプラス財産、借金・債務等のマイナス財産両方含む)を、自分の死後にどのように分けたいかということを示す「一方的な意思表示」です。なので、「契約」のように2人以上の人間が関与して、双方の意思表示により成立するものではなく、亡くなった人(被相続人、遺言者)が一方的に財産の帰属(どの財産を誰に、どのように分けるか)を決定するものです。

 

【「遺言」をする意義】

では、なぜ遺言をするのか。そもそもする必要があるのか、という疑問が湧いてくるかと思います。

もちろん、すべてのケースにおいて遺言をすることが絶対必要、ということはありません。しかし、以下のようなケースでは、遺言を遺しておく方が後々のためになるでしょう。

1.現在の配偶者との子以外にも、前婚の配偶者との子もいる

2.相続人が多数いる

3.相続人の中に行方不明者がいる

4.相続人が全国各地又は海外に散らばっている

5.相続人の中に、認知症や知的障害の方がいる

なぜ上記のようなケースでは遺言があった方がいいのかを述べる前に、相続の基本ルールをお伝えします。遺言がない場合、相続人が全員で「遺産分割協議」をする必要があります。この「遺産分割協議」は、いかなる事情があろうが「相続人全員」で行うことが必要であり、1人でも欠けた状態での協議はすべて無効です。

したがって、上記のケースは、いずれも「相続人全員」が協議することが困難なケースです。

「1.」のケースでは、そもそも全く面識もなく、存在も知らない場合も考えられますし、その家族関係を鑑みても、中々話し合いを持つことも難しいですし、それぞれの関係性によっては話し合いで揉めてしまって紛争に発展することも十分考えられます。

「2.」「4.」の場合は、単純に全員で日時を合わせて協議することが非常に難しいことが多いと思います。このようなケースでは、代表となる1人の相続人が、遺産分割協議書を作成し、それを相続人の人数分作成し、それぞれに郵送して、かつ、全員から同意の署名をもらう、というやり方が一般的です。とにかく、時間がかかりますし、1人でも異議を述べる方がいれば、更にやっかいです。

「5.」に関しては、場合による法定後見の申立てをした上で、後見人を立てた上で、遺産分割協議をする必要が生じるため、これも時間がかかります。なお、自身の意思表示ができる状態なのであれば、寝たきりの方等であっても遺産分割協議は可能です。

以上で見てきたケースにおいて、もし「遺言」があれば、上記のような煩わしい遺産分割協議をすっ飛ばして、遺言の執行(遺言の内容に従って、財産を実際に分けること)に移ることができます。

なお、遺言がある場合は原則として、その遺言の内容に従って財産をわけることになりますが、相続人全員の合意があれば、その遺言を無視した遺産分割をすることも可能であるとされています。

 

ちなみに、以下のようなケースは、遺言がなくとも問題が生じるケースが少ないと言われています。

・相続人が配偶者のみ、子1人のみであるようなケース

・相続人が、配偶者と子供のみで、特にその者の間において関係性に問題がないとき

 

以上、今回は「遺言を遺す意義」について書いてみました。

最後までお読みいただきありがとうございました。