loader image

【第84回】遺言の基本

長久手市の在留資格(ビザ)と終活関連業務に強い行政書士、竹内です。

梅雨が明け、連日猛暑日が続いていますね。そして、つい昨日、台風が発生したとのニュースがありました。う~ん、いかにも「夏」という感じがしてきましたね。

以前から公言しているように、私は四季の中で夏が一番好きですが、ここまで暑くて、毎年のように大災害が起こるのを見ているとその気持ちも揺らいできますね。

まあ、いずれにせよ、私はまだ夏を楽しむ身分にないので、仕事を頑張りたいと思います。その中で、可能であれば夏を楽しみたいですね!

ということで、今週も行きましょう。

 

今回も、引き続き「終活シリーズ」で行きたいと思います。前回のブログでは「遺言を遺す意義」と題して、遺言をした場合・しなかった場合のメリット・デメリットなどに簡単に触れましたが、今回は、その遺言の「基本」を紹介したいと思います。

 

【遺言の基本】

・遺言は、民法に定められた方式に従って行われなければ、すべて「無効」となります。これが、ある意味一番怖いものになります。つまり、よく法律を読んで理解し、そこに書かれている方式に従って作成しなければならず、そのように作成されていない場合は、どんな些細な違いであっても、原則「無効」となってしまうということです。つまり、亡くなった方の意思が無視されてしまう可能性があるということです。

・遺言をすることができるのは、当たり前ですが「遺言者」のみです。遺言者とは、すなわち「亡くなる人・亡くなった人本人」のことです。なので、遺言者の息子等の他人が、遺言者に代わって遺言書を作成したりしても無効です。(秘密証書遺言において、当該息子を作成者として作成するような場合は除く。後日、他の回で詳しく触れようと思います。)

・遺言は15歳に達していれば、誰でも単独で行うことができます。そして、未成年者の法律行為への同意・取消権、成年被後見人の法律行為の取消権、保佐人の同意を要する行為、補助人の同意を要する行為等の規定は、遺言については適用が排除されています。つまり、例えば15歳の未成年者が保護者の同意なしで単独で作成した遺言についても、法律上有効な遺言となります。また、成年被後見人や被保佐人であっても、単独で有効な遺言を行うことが可能です。ただし、いずれもその前提として、遺言をする時において「遺言能力」を有していることが条件となります。

・遺言は、原則1人1通で作成する必要があります。例えば、夫婦が2人で1通の遺言を作成しても、無効になってしまいます。(ただし、2人で1通の遺言が作成されているような場合であっても、その内容等から、その分割が容易にできる等の条件が備わっていれば、共同遺言に当たらない、つまり有効であるという最高裁判例もあります。しかし、そんな危ない橋を渡るより、1人1通で作った方がいいです。)

・外国にいる方でも、日本の方式に従った遺言はできます。外国にいる方が遺言をする際に問題となるのは、公正証書遺言と秘密証書遺言の2つです。なぜなら、この2方式の遺言は、いずれも「公証人」が必要となるからです(この遺言の方式の種類については、別の回で詳しく説明します)。これに関しては、外国に駐在する領事が、公証人の職務を行うと民法に定められているので、外国に住んでいる人が、公正証書遺言又は秘密証書遺言をする場合は、在外国日本領事館において遺言をすることができます。

・遺言の効力が発生するのは「遺言者の死亡の時」です。従って、遺言者が生きている間は、その遺言は何の効力もありません。なので、遺言は何回でも訂正・撤回が可能です。(訂正・撤回については、別の機会で詳しく書くつもりでおります。)

 

以上、今回は「遺言の基本」(主にどの遺言方式であっても共通して適用される事項)のうち主なものについて説明しました。今回の内容は、民法の条文に即したものばかりを書いてますね。もし、詳細気になる方は、是非、民法960条以降を参考にしてみてください。

では、今回は簡単ですが以上とさせていただきます。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。