長久手市の在留資格(ビザ)&終活関連業務(相続・遺言・後見制度・死後事務)に強い行政書士、竹内です。
始まりましたね!パリオリンピック。開会式の日のテロ(破壊行為)のニュースを見たときにはどうなることかと思いましたが、今のところ無事に競技が進行していてひとまず安心です。
そして、一昨日「体操競技男子団体予選」がありましたね。
生では見られませんでしたが、録画で食い入るように観させていただきました。結果としては、予選2位通過でまずまずですね。
中国との差が2.4くらいでしたかね。これは、酷なようですが、エース橋本大輝選手の不調による差だと思います。中国は絶好調で、ほぼミスなく6種目こなしました。それに対して、日本は橋本選手がいつもの実力が出せずに、その分の点数差が、そのまま日本と中国の点数差になってしまった印象です。
要するに、何が言いたいのかというと、日本と中国の実力は互角。従って、橋本選手以外の両チームの全選手が予選と同じ演技をしたと仮定すると、橋本選手の出来次第で、メダルの色が変わる、という何とも言えないシビアな戦いになりそうです。
私は信じています。日本は、金メダルとります。橋本選手は、団体決勝でいつもの演技を見せてくれます。
皆さんも応援しましょう!がんばれ、ニッポン!!!!
ということで、若干熱く語りすぎましたので、そろそろ本題に入りましょう。
今回は、最近スタートした「終活シリーズ」を1回お休みして、今話題の令和6年改正入管法の中身についてちょっと解説したいと思っています。改正の中身はいくつかあるのですが、今回は、その中でも「永住者」に関することに絞って解説します。
【そもそも「永住者」とは?】
外国人でありながら一定の許可要件を満たした者に対して、その者の申請に基づいて、法務大臣がその外国人の日本での永住を許可する、これが「永住者」の制度です。
メリットは、主に3つあります。
① 在留期限が無期限になる。= 在留期間更新許可申請などから解放される。
➁ 在留活動が無制限になる = 適法でさえあれば、日本人同様どんな仕事も活動もできる。
③ 母国籍を維持したまま日本で永住できる = 帰化との違い。
【今回の改正で特に話題になっていること】
これは、ずばり「永住許可の取消し」です。
【これまでには永住許可の取消しはなかった?】
ありました。以下の場合には、これまでも永住許可は取り消されています。
・単純出国(再入国許可等を受けずに出国すること)した場合
・再入国許可の期間内に再入国しなかった場合
・退去強制事由に該当した場合
・在留資格取消事由に該当した場合
【何が問題なのか?】
今回の改正においては、永住者の在留資格についてのみ、以下の2つの「取消事由」が追加されました。
①入管法に定める義務を遵守せず、又は、故意に公課公租の支払いをしないこと
②刑法等の罪により拘禁刑に処せられたこと
★「①入管法に定める義務を遵守せず、又は、故意に公課公租の支払いをしないこと」について
これは、文面だけ見ると非常に恐ろしく思えます。
例えば、「入管法に定める義務を遵守せず」の部分を取り上げると、入管法に定める義務は多数あります。永住者に関係のあることの主なものを挙げると、住居地変更の届出、在留カードの携帯義務、在留カードの有効期間の更新義務などがあります。入管法に定める義務のいずれかでも遵守しなかった場合には、永住者の在留資格が取り消される、とも読めます。
しかし、入管庁は、ここでいう「入管法に定める義務を遵守せず」とは、「義務の遵守が罰則により担保されているものについて、正当な理由なく履行しないことをい」うとし、「永住許可後にその要件を満たさなくなった一部の悪質な者を対象とするものであり、大多数の永住者を対象とするものではありません。そのため、例えば、うっかり、在留カードを携帯しなかった場合や在留カードの有効期間の更新申請をしなかった場合に、在留資格を取り消すことは想定していません。」としています。
「故意に公租公課の支払いをしないこと」についても、概ね似たような解釈です。つまり「支払能力があるにもかかわらず、公租公課の支払をしない場合などを想定」しており、「病気や失業など、本人に帰責性があるとは認めがたく、やむを得ず公租公課の支払ができないような場合は、在留資格を取り消すことは想定していません。」と回答しています。
★「②刑法等の罪により拘禁刑に処せられたこと」について
これもニュースで取り上げられている内容ですね。
これまでも退去強制事由として、入管法第24条第四項リ「(略)無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。(略)」という条項があります。
何が違うのかということですが、今回の改正では「拘禁刑に処せられたこと」としかされていないことです。そうです。前記の退去強制事由とは異なり「期間の定めがない」のです。
これまでは、窃盗や傷害の罪で刑に処せられてもそれが1年未満の実刑であれば、退去強制事由には該当しませんでした。
しかし、この改正により期間の定めがなくなった場合、仮に1月であっても実刑であれば在留資格が取り消される場合がある、ということになります。
なお、これは「故意犯」を前提としており、入管庁も「交通事故を起こして過失運転致死傷の罪で処罰された場合は、本号の対象とはなりません。」(また、道交法は、対象となる刑罰法令に含まれていない)としています。(1年未満の拘禁刑の場合。1年以上の拘禁刑に処されれば、これまで同様退去強制事由に該当します。)
【永住者が取り消されてしまったらどうなるの?】
結論から言うと、よっぽどのことがない限り、定住者等の在留資格に変更されます。
つまり、日本に居られなくなるということは原則ありません。
ただし、その外国人の在留状況が極端に悪いような場合等は、例外(出国又は退去させられる)とされているようです。
以上、今回は今話題となっている入管法改正の中で「永住者」について簡単に説明しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
なお、次回からは「終活シリーズ」に戻る予定です。