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【第88回】自筆証書遺言保管制度

長久手市の在留資格(ビザ)&終活関連業務(相続、遺言、成年後見、死後事務等)専門行政書士の竹内です。

お盆も終わり、また通常の日々が始まりましたね。

昨夜は、北関東で震度4・5の地震が連続発生したようで、そういったことも何か怖いですよね。個人的に、震度3以下の地震しか体感したことないので、それを超える地震が来ると思うと恐ろしくて仕方ありません。

備えあれば憂いなし、日ごろの備えは大事ですね。

 

ということで、今週もスタートです。

 

今回も「終活シリーズ」でいきます。これまでは、遺言の意義や遺言の種類等、かなり基本的な事項を書いてきましたが、今回はその中でも、遺言書、特に「自筆証書遺言」の「保管」にスポットを当てて書いていきたいと思います。

 

【昔の自筆証書遺言】

以前まで、自筆証書遺言は、遺言書本体の文章はもちろん、目録を添付する場合にはその目録も含めて、すべて「自筆」しないといけませんでした(文字通り「自筆証書遺言」ですね。)。そして、その保管も、自身で保管場所を確保する必要がありました。

前回の民法の大改正において、まずこの「自筆」の部分の方式が緩和されました。

遺言書の本体に関しては、引き続き「全文」を「自書」することが必要ですが、目録を添付する場合のその「目録」については自筆する必要がなくなりました。

つまり、目録に関しては、通帳のコピー等でもOKとなり、方式の緩和が図られたのです。

しかし、保管に関しては、なお自分で行う必要がありました。

 

【自筆証書遺言保管制度の開始】

2020年から、この自筆証書遺言保管制度が始まりました。

これは、今まで自分で保管しなければならなかった遺言書を、法務局で保管してくれるという制度です。

 

この制度のメリットは

① 遺言書の紛失リスクがなくなる。

② 長期間の保存

③ 検認が不要

④ 形式不備による遺言の無効リスクがなくなる※1   ※1 デメリットの「②」参照

⑤ 全国どこの法務局でも遺言者本人はモニターで内容確認できる。

⑥ 通知制度がある ※2

 

※2

☆関係遺言書保管通知​

これは、遺言者の死亡後に、相続人等の1人が遺言書の閲覧をしたりした場合に、他の相続人全員にその旨を知らせる通知が届く、という制度です。

☆指定者通知​

これは、希望した場合のみの制度です。遺言者の死亡事実を法務局内で確認出来た際に、あらかじめ指定した人(最大3人まで)に対して、遺言書が保管されている旨を通知するという制度です。

デメリットは、

① 手数料がかかる。(保管は、1通3,900円等)

② 形式不備のチェックのみであり、内容や適法性のチェックはないため、無効となる可能性は依然ある。

③ 法務局に出向く必要がある。

④ 遺言書の氏名の記載は戸籍謄本どおりでなければならないなど、通常の自筆証書遺言では許される形式も、この自筆証書遺言保管制度では認められないこともある。

⑤ 様式が厳しい。

 

※⑤の様式は、法務局でかなり厳しく定められています。例えば、余白の幅が決められており、そこを1mmでも超えると預かってもらえません。仕方ないかもしれませんが、厳しいですよね・・・。

 

【相続人等のできること】

相続人等(相続人、受遺者、遺言執行者等)は、​遺言書保管事実証明書(自分を相続人・受遺者・遺言執行者とする特定の相続人の遺言書があるかどうかの確認ができる)、遺言書情報証明書(遺言書原本と同じ内容を記載したもの)、遺言書の閲覧(モニターで見る)の請求もできます。

これらは、遺言者の死亡後でなければすることができません。​

 

以上、今回は「自筆証書遺言保管制度」について紹介いたしました。

最後までお読みいただきありがとうございました。​​