長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。
10月2週目ですね。私は、朝早い方なのですが、9月の3連休明けから一気に朝は涼しくなりました。新聞を取りに行くときには、寒い、とまではいきませんが明らかに9月3連休明け以前と比べて涼しく快適になってきました。
もう冬の気配が徐々に迫ってきているのをひしひしと感じます…ということは、もうすぐ1年終わっちゃうということですね。本当に歳を取るにつれて、時間が進むのが早いです。
というわけで、今週も頑張っていきましょう!
今回は、令和5年改正で新たに導入され、今年始まった新制度「監理措置」というものについて書いていこうと思います。実は、偶然先週、今から書こうとしているテーマと同じテーマの研修会(入管職員によるもの)に参加してきました。既に勉強した内容の確認、という感じになりましたが有意義な研修会でした。というわけで、その研修内容も踏まえて、なるべくわかりやすく解説したいと思います!
【監理措置って何?】
監理措置とは、違反の疑いがある外国人のうち一定の条件に該当する者を、(本来は収容されるが)入管施設に収容せずに放免する替わりに、その外国人を監督する者を付して、逃亡等をしないよう手続きが完了するまでの間管理させるという制度です。
【監理措置制度の創設に至った事情】
改正前の入管法の原則として「全件収容主義」というものがありました。これは、違反の疑いがある者などは、とにかくまず収容してその後の手続(送還手続等)を進めよう!という考え方です。
しかし、この「全件収容主義」は、改正前に既に破綻していました。
その理由は、あまりにも違反の疑いがある者が多く、収容しきれなかったからです。
【仮放免制度の乱発による問題発生】
上記のように収容しきれない外国人が増えるなか、さらに追い打ちをかけるようにコロナ禍が襲いました。
そこで入管は、解決策として既存の制度である「仮放免」を多用し、多くの外国人の収容を一時的に開放する措置を取りました。
仮放免とは、収容令書又は退去強制令書の発付を受けて本来は収容されなければいけない者を、一定の条件下で、期間を定めて(更新可)一時的に収容を解くことを認めるという制度です。
この仮放免では、一応「保証人」がいますが、法律上何も義務等をかされていないため、仮に外国人が逃亡しても特にお咎めなし、という性質のものです。
そうです。
ご察しのとおり、仮放免を多発したことにより、逃亡する外国人が増え、その外国人が各地で犯罪等を引き起こしてしまったのです。
この状況に歯止めをかけるため、考えられた制度が「監理措置」という制度なのです。
【監理措置と仮放免の違い】
①「監理人」
・監理措置制度では、監理人が必要です。資格は特に必要ありませんが、その職務を全うできる能力を有する者として、主任審査官(監理措置に付する旨の決定をする権限を持つ入管職員)に認められる必要があります。
・この監理人には、仮放免の保証人とは異なり、一定の義務が課されます。
(1)一定の事項(監理措置取消事由の発生、外国人の死亡、その他法務省令で定める事項)の届出義務。
(2)主任審査官から一定の事項に対して報告を求められた場合の報告義務。
・↑2つの義務以外にも、努力義務等がありますが、この2つの義務を怠ると監理人にも行政罰(刑罰ではない)として10万円以下の過料が課されます。
②アルバイトができる可能性
・仮放免では、働くことができません。
・監理措置に付された外国人で、退去強制令書(外国人の容疑が確定し送還が決定した場合に出されるもの)が発付前の者は、一定の条件下で働くことができます。なお、この点に関して上述の研修会では「あくまでも外国人の生活に必要な範囲で認められるにすぎず、留学生等のように週28時間までなどとは考え方が違う」とのことで、目安として「生活保護等」が列挙されていました。
③期間制限の有無
・仮放免では、必ず「仮放免期間」が定められます(ただし、更新は可能で更新回数の上限も特にない)。
・監理措置では、具体的な期間は定められません。もちろん、例えば、退去強制令書が発付されたもののすぐに送還できないために監理措置に付されている外国人は「送還の時まで」という期間制限はありますが、仮放免のように1/1~12/31までなどのような期間は定められないため、期間更新のためにこまめに入管に通うという必要はありません。(ただし、監理措置の場合は一定の事項を、一定の期間ごとに届け出る義務が課されます。)
【今後の「監理措置」と「仮放免」の運用の見通し】
・結論からいうと、今後は「監理措置」を増やし、「仮放免」を減らす方向で運用されるものと思われます。少なくとも入管はそうしたいと思っているようです。
・言い換えると、仮放免は本来の運用に戻し(つまり、よっぽどやむを得ない場合以外は認めない方向に戻し)、今までの仮放免の乱発によって放免されていた、本来は仮放免の対象にならない人たちについては、監理措置を適用する、ということです。
・監理措置は、前述のように「監理人」が付されることから、仮放免で問題になった「逃亡」や「違法行為を働くこと」などを、少なくとも形式的に減らせるのではないか、という考えですね。
・しかし、実態としては「監理人」のなり手がいないため、入管はその確保に頭を悩ませているようでした。たしかに、私もこの制度を知ったときは「監理人ビジネス」ということも考えましたが、リスクはあるなあと思いました。よく上記の「届出義務不履行に対する行政罰」が監理人のなり手が増えない原因と言われます。確かにそれもあるでしょう。しかし、個人的には、やはり、違反をした「可能性がある」外国人の監理に係ることにより、思わぬとばっちりなどがあり得ることが怖いです。(少し差別的なニュアンスに聞こえますが、これは日本人であっても同じです。)
・例えば、外国人が違反をしたことを察知して、入管に届け出たことを根に持たれて、将来何かしらの暴行を受けるなどなど、そういったリスクはありますよね。
以上、今回は「監理措置」についてでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。