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【第96回】新制度紹介④~申請できるの?「”新”在留特別許可」について~

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。

 

10月の3連休、皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか。

私は、土曜日に長久手市国際交流協会(私も会員です)主催の「ベルギーフェスタ」にスタッフとして参加し、月曜日は、母が所属している合唱団のチャリティー公演を見に行きました。

仕事の方は、相変わらずといった感じですが、ここ数カ月明らかに問い合わせが増えた感があり、もう一息といった感じですね。まあ、まだまだ「食っていける」という状況には程遠いです(苦笑)。

まあ、でも頑張ります!

ということで、今週も行きましょう!

 

今回は、新制度紹介の4回目として「在留特別許可」に関する運用の変更等について書いていこうと思います。

 

【在留特別許可ってそもそも何?】

・在留特別許可とは、法務大臣が「在留」を「特別」に「許可」するものです。

・法令違反等した外国人は、原則として、「その疑いがある」とされた時点で、入管施設に収容され、その間に長い時間をかけて、「本当に送還させる必要がある外国人なのか?」を入管が審査します。その審査の結果を受けて、最終的に入管が「送還させるべき外国人だ!」と確定すると、通常は、「退去強制令書」というものが発付されて、その外国人は送還されることになります。

・上記の流れの中で、「送還されるべき外国人だ!」と確定したとしても、法務大臣が「確かにそうだが、この外国人には○○という特別な事情があり、日本での在留を認めるべきだ。」と考えたときには、例外的に在留が許可される、すなわち「不法滞在⇒正規滞在」へ変更が許可されることがあります。

・これが「在留特別許可」です。

 

【在留特別許可の「申請」の創設】

・上記で見たように、在留特別許可は「送還されるべき外国人だ!」と確定した外国人に対して、法務大臣の判断で在留特別許可がなされていました。つまり、外国人側からお願いする=申請する、という性質のものではありませんでした(実務上、外国人側から在留特別許可を求めるような書面の提出等はされていましたが)。

・今回(令和5年)の入管法改正では、在留特別許可の「申請」という制度が法律に明記されました。

・収容令書で収容されている外国人、監理措置決定を受けている外国人(いずれも仮放免中の場合も含む)は、自ら(事情があれば同居の親族等から)、入管に対して在留特別許可の申請をすることができます。ただし、その結果は、退去強制に関する入管側の判断等があった後でないと出ません。

・つまり、収容されている外国人が収容直後に在留特別許可の申請をしても、その結果が出るのは、入国審査官が退去強制対象者であると認定した後、特別審理官が退去強制対象者であると判定した後、または、法務大臣が異議の申出に理由がないと裁決した後ということになります。

・なお、以前までは難民認定手続きにおける在留特別許可というものも存在していましたが、今回(令和5年)の法改正でなくなりました。その代わり(?)に、第94回のブログで紹介した「補完的保護対象者」という制度ができました。したがって、

以前:難民認定申請 ⇒ 不認定 ⇒ 在留特別許可 ⇒ 正規滞在

改正後:①難民認定申請 ⇒ 不認定 ⇒ 退去強制手続 ⇒ 在留特別許可 ⇒ 正規滞在

②難民認定申請 ⇒ 不認定 ⇒ 補完的保護対象者認定 ⇒ 正規滞在

というように変わりました。要するに「難民認定手続」と「在留特別許可」を切り離しました。

 

【在留特別許可されるための要件の明記】

・以前までは、在留特別許可の要件が不透明でわかりにくいとの指摘がありました。そのため、今回(令和5年)の改正により、法律の条文に明記されました。

(1)日本での在留を希望する理由

(2)家族関係

(3)素行

(4)日本に来ることになった経緯

(5)日本に在留している期間とその間の法的地位

(6)退去強制されることとなった理由

(7)人道上の配慮の必要性

(8)内外の諸情勢

(9)日本に居る他の不法滞在者に与える影響

(10)その他の事情

・↑の(1)~(10)を見ただけでは何となくしかわかりませんが、より詳細な内容について、入管が「ガイドライン」を作成しており、入管のHPから見ることもできます。

・(2)家族関係については、例えば、自身が退去強制対象者であっても、日本で生まれ日本で学校にかよっている子供がいる、などはプラス要件になりうることなどが書かれています。

・(5)に関しては、「適法に在留している=ちゃんと在留資格を持って、在留資格に合った活動をしている」ことが前提であるため、不法滞在しており、かつ、その期間が長いことはマイナス要素になるとされています。しかし、例えば、不法滞在していたものの、地域社会に溶け込み、地域の一員としての地位を確立している等の事情があれば、プラス要件にもなり得ること等が書かれています。

その他、様々なことが書かれていますが、要するに「個別具体的に判断する」ということです。

 

以上、今回は「在留特別許可」について書いてきました。

最後までお読みいただきありがとうございます。