長久手市の在留資格(ビザ)&終活関連業務(相続、遺言、後見、死後事務等)専門行政書士の竹内です。
昨日は、令和6年度行政書士試験でしたね。
私が受けた試験は令和3年度でしたので、あれから3年経つわけです。今年の試験問題は、自分の専門分野を除き、全く忘れていることばかりでした。いや~・・・ダメですね。受かった後は、試験勉強以上に勉強が必要であるというのに、このありさまでは専門家として失格ですね苦笑
今日からまた気を引き締めて精進していきます!
ということで、今週も行きましょう。
前回までは外国人関連業務のことを数回続けてきましたが、今回から「終活シリーズ」をまたしばらくつづけようかなと思います。(気が変わるかもしれませんが)
今回は、「後見制度」というものについて本当に簡単に述べようと思います。以前「【第82回】老後、死、そして死後に関する手続きについて」のブログでもちょろっと触れています。
【後見制度とは何か?】
人は誰しもが老いていきます。これは避けられません。そして、老いることによって必ずそれに付随してくるのが判断能力の低下です。
うまくしゃべれない・ことばが出てこない、思うように動けない、簡単なことができない、すぐに忘れてしまう。こういったことは、自分が実際に経験しないと本当の辛さ・歯がゆさはわからないと思います。私もわかりません。しかし、そういった事情を、若い人も可能な限り理解してもらって、支え合っていく社会にしていくことが、この超高齢社会にとって理想なのではないかと思います。
そして、そういった人達の中には、いわゆる認知症となる方も多数いらっしゃいます。
認知症などによって、判断能力は大幅に低下します。もちろん、肉体的な衰えもしかりです。
また、「老い」に限らず、「障がい」をお持ちの方(その程度により状況も様々ですが)も同様に、一般の社会生活を営むことは他の人のサポートがない限り難しいのが現実です。
こういった方々が、お金を銀行から下ろしたり、施設に入るための契約をしたり、入院するための手続をしたり、電気代や光熱費を支払ったり、税金・固定資産税を支払ったりなど、日常生活を営むことは必ずしも容易ではありません。むしろ、若い人には想像できないほど困難な場合もあると思います。
このような「判断能力の低下」状態に陥ったの日常生活のサポートをしていくための制度が、この「後見制度」なのです。
【後見制度の種類】
後見制度には、大きく分けて「法定後見」と「任意後見」の2つの制度があります。
これについては、次回以降で詳しく説明していこうと思っています。今回は、2種類ある、ということだけ知っておいていただければと思います。
【後見制度でできること、できないこと】
後見制度でできる(しなければならない)ことは2つです。
① 財産管理
② 身上監護
それでは、上記の2つを詳しく見ていきましょう。
★「① 財産管理」(できること)
ここは、長々と文章を書かず、具体的な例をいくつかあげましょう(後見人単独ではできないものも含まれます)。
・預貯金口座の管理(金銭の出し入れ等)
・光熱費、家賃などの支払い
・不動産収入がある場合の収入の管理、未払者に対する支払い請求等
・不要となった不動産や動産(車、家具)の処分(売却等)
・本人のための小口現金の管理(おこずかいのお渡し等)
・必要に応じた社会福祉制度等の手続(生活保護等)
★身上監護(できること)
・介護施設や老人ホーム等への入所契約等
・病院の入院手続等
★身上監護(できないこと。すべきでないと言われていること。)
・手術などの同意(入院の手続はできるが、本人が手術をするかどうかの同意は権限外)
・身元保証(利益相反となり得るため、すべきでない。その保証の内容によっては受けてもいい場合もある)
※介護施設へ入所するための契約はできるが、その際に身元保証人となることが求めれれることがあります。なお、身元保証人がないことを理由に入所を断ることはできません。
【後見制度を利用する上で忘れてはならないポイント】
後見制度は、あくまでも「本人」のための制度です。
例えば、本人が認知症になってしまい本人の預貯金が出し入れできなくなったため、その預貯金を引き出すために、本人の息子が「後見人を付けたい」というようなケースは、事情にもよりますが、注意が必要です。このケースでは、本人のためでなく、本人の息子のために本人に後見人を付ける、という形になってしまう可能性が高いので、後見制度の本来の利用方法とは言えないでしょう。
なお、後見制度は、原則として、一生続きます。必要な時だけ利用して、その目的が終わったら利用をやめる、といったようなことはできないことも肝に銘じておく必要があります。
後見制度では、後見人(本人に代わって財産管理・身上監護を行う者)の重要な任務の一つとして、「本人の意思の尊重」というものがあります。これは、民法でも規定されている「義務」です。後見人は、あくまでも本人の補佐役といってもいいかもしれません。
いくら認知症になっても、言葉がしゃべれなくなっても、その方には「意思」があります。その「意思」を、可能な限り、最大限尊重して、本人のために判断・決定・業務遂行していくことが後見人には求められます。
後見制度をあえて一言で表現するなら「徹底した本人のための支援制度」と言えるでしょうか。
以上、今回は「後見制度」の概要を述べました。
最後までお読みいただきありがとうございました。